blog井上博の「行雲流水」

障がい者福祉ソーシャルワークについて

先週東京の国際フォーラムで日本知的障害者福祉協会で実施している

社会福祉士養成課程のスクーリングで相談援助演習を担当した。

18名の受講生とともに3日間の演習を共にした。18名は他の養成所と

異なり圧倒的に知的障害者へのサービスを提供する事業所に

所属しているスタッフであった。

私は障害のある利用者が地域で生活する基盤をつくっていくには制度が

充実することとそのサービスを有効に活用するソーシャルワーカーや

社会福祉士の存在が不可欠であると思っている。

実習に行った学生の報告や現場の実践記録を見る限り知的障害者福祉

の現場は問題山積の状況にあるように思う。

現場の状況を聞くと決して利用者本位とは言い難い様子がうかがえる。

知的障害のある利用者は自ら反論することは難しく、精神障害や身体

障害の方に比較すると圧倒的に厳しい状況にある。

これまでの歴史を振り返っても本人よりも圧倒的に親や支援者そして社会の

側からの主張にに振り回されている感がある。知的障害者福祉に携わる

スタッフは権利擁護の意識を常に持ち自分自身の自己覚知が絶対条件である。

知的障害者福祉協会の活動を通して知的障害者の福祉分野でソーシャルワーク

の専門性の確立が必要であることを実感した。

日々の研さんを重ね、利用者の地域で住む権利や働き活動する権利の実現に

貢献したい。

 

 

意思決定支援ガイドブックについて

このたび日本知的障害者福祉協会から意思決定支援ガイドブックが

発刊された。これまで意思決定支援特別委員会で議論してきたことが

形になり皆様に手に取っていただけることを大変うれしく思います。

私たちの知的障害福祉現場で聞かれる最も多いスタッフのやり取りは

「Aさんは何を求めているのかな?」「Bさんの行動はなにをあらわし

ているのだろう?」「Cさんはあの時はこうだったので今はきっとこ

う思っているのでないかな?」「Dさんのあの表情はきっと寂しいんで

ないかな?」「Eさんきっとあの人が苦手でイライラしているのかな?」

「Fさんがおこっているのは体の調子が悪いのかな?」現場に飛び交う

スタッフの言葉は利用者の想いを探り意思決定を促す言葉がけが圧倒的です。

特に言葉で表現することができない利用者の行動や表情から想いや

要望や願いを感じ取ることが私たちの最も日常的で本質的な仕事です。

意思決定支援ガイドフックは支援者に新たな気づきをもたらして

支援現場の質があがってくれれば本当にうれしいことです。

私の願いは意思決定支援が小さな限られた関係や空間の議論にとどま

らず障害のある方が地域で自分の意思によって普通に生きることができ

るようになることです。

ソーシャルワーク実践によって彼らの可能性がさらに開かれ障害のある人に

優しい社会に変えていくようなダイナミックな取組になること願ってい

ます。 どうぞ手に取ってみていただきご意見をお寄せください。

田口委員長や小沢先生、そして事務局の三浦さんはじめ多くの皆さんのご

労苦に心より感謝申し上げたいと思います。

 

社会福祉法人改革について

社会福祉法改正にともなう社会福祉法人改革の本格実施が始まって

います。このたび最も大きく変わるのは評議員会のあり方です。

これまでの諮問機関から議決機関となり人数も半分程度となってい

ます。このたびの改革が一部法人の同族経営や不正な支出の是正と

いった側面は評価できる内容ですが逆にが社会福祉法人の本来の

役割である地域の福祉ニーズに対応する組織改革とはなっていない

のではないかと思います。

愛泉会としてこのたびの改革にあたって特に二つの点に留意しまし

た。一つは評議員は次の立場から就任をお願いをいたしました。

社会福祉士を中心とした権利擁護の専門家の皆さん、経営の時代に

対応する民間企業の経営者の皆さんそして、スタッフの採用・育成

の視点から大学、短大の教員の皆さんに参画いただきました。

もう一つは新たに法人として地域運営協議会を始めることです。

これまで障害当事者や職員を含めて地域の方々に評議員をお願い

してきました。

利用者や地域の意見をあげていただくために今後とも多くの方々

に参画いただきたいと思います。

この法人改革を新たな視点で障害のある人々の権利と地域課題に

対応する法人経営につなげてまいりたいと思いますので。一層の

ご支援ご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

年頭に当たって

新年明けましておめでとうございます。

今年の山形は極端に雪が少なく穏やかな正月を迎える

ことができました。

今年は元旦にグループホームを4日には日中系事業所を

回らせていただきました。合計26個所2日がかりでした。

グループホームでは元旦から若いスタッフが勤務し初詣や

新年会、おせち料理等が準備されておりました。

又日中系事業所でも様々な工夫があったり新しい仲間が多く

新年の思いを新たにいたしました。

昨年は7月に神奈川県相模原市にある津久井やまゆり園で

本当に悲しい事件がありました。

多くの知的障害のある仲間が尊い命を失いました。私たち

は犠牲になった命を無駄にしないための実践が求められてい

ます。

私は知的障害のある利用者の価値を地域社会に発信し、そして

利用者の命や存在を大切にする実践を具体的に展開する必要が

あると考えます。

重い障害のある利用者が大切にされる社会がすべての人が豊か

に暮らすことができる社会です。愛泉会において

普通に利用者が暮らし活動する社会を具現化するソーシャルワ

ーク実践に取り組む一年としたいと思います。

又社会福祉法人改革が実質的には4月からはじまります。

評議員会のあり方を始め大きく変わり地域社会への貢献が

一層もとめられます。

今年一年の当法人の事業へのご支援ご協力をいただきますよう

よろしくお願い申し上げます。

 

法人創立30周年記念式典・祝賀会について

さる、11月22日に法人創立30周年の記念式典と祝賀会を

山形市の国際ホテルで開催することができました。

当日の早朝に福島県沖の地震が発生し仙台空港が閉鎖され、

当日の講演者、北海道伊達市からおいでいただく予定であっ

た小林繁市先生の搭乗予定の便が飛ばない事態となった。

結果的には、青森空港、仙台駅着でおいでいただいて無事

講演をお聞きすることができた。心より感謝したい。

わが国でも最も充実し伊達市の地域実践の具体例を

お話しいただいた。尊敬する小林先生の講演会を実現

することができ一つの夢が実現した。

記念式典ではこれまでご支援いただいた多くのご来賓、

関係者においでいただき開催することができた。

祝賀会ではこんなあいさつをさせていただいた。

三つの感謝 初めに利用者の皆さんに感謝、当日は

この30年間ご利用いただいたみなさんを中心にに

祝賀会に参加いただいた。

障害のある利用者へのサービスを提供させていただく

事業者として利用者の皆様とともに30年の節目に感謝したい。

二つ目はスタッフに感謝したい。入所施設やグループホームで

働くスタッフにとってこの30年そして24時間交代で休むことなく、

利用者の生活を昼も夜も支えていただいたことになる。

改めて法人の事業も現在220名のスタッフの働きによって支えられ

ている。感謝したい。

三つめは人と人との出会いに感謝したい。現在愛泉会の経営

や新規事業の立上げは多くの人々とのであいと支援あって

実現できたものである。これまでのご協力に感謝したい。

これからの10年20年先を見つめであいやご縁を大切に

利用者を中心とした事業経営に努めたい。

障害福祉の思想の再確認

ご承知の通り7月26日神奈川県相模原市の津久井やまゆり園で利用

者19名の尊い命が犠牲になり26名が負傷するという驚愕する事件が

発生した。亡くなられた利用者のご冥福をお祈りするとともに心身

に大きな傷をおわれた皆様の早期の回復を願いたい。

犠牲になられた方が抵抗の難しい重い知的障害のある利用者であった

ことさらにその犯人が元職員であったことは大きな衝撃であった。

報道によれば犯人は障害のある人の生存を否定する考え方を持ちそれを

実行したという。

余りの状況に驚愕するばかりであるが私たちはこの事実にどのように向

き合えばよいのだろうか?

今こそ私たちは障害福祉の思想の原点を再確認する必要があると考える。

かつて知的障害者福祉の父といわれた糸賀一雄先生はどんなに重い障害の

ある利用者も一人一人は価値あるかけがえのない存在であってその発達は

無限であり、そして利用者の存在は世の光であると訴えられている。

糸賀先生、石井亮一先生、そしで近年亡くなられた江草先生はじめ多くの

先人たちの思想を確認するとともにその価値を共有し障害のある利用者が

社会の中で輝く存在であることを勇気をもって世に訴える必要がある。

さらに私たちが日々関わる目の前の利用者の意思や感情、思いを大切にする

実践を通して利用者家族に安心感を取り戻していただきこの危機を乗り越え

ていきたい。

全国知的障害関係施設長等会議に参加して

先週6月23日24日横浜で開催された日本協会の施設長会議

に参加しました。

このたびの役員改選で副会長に選出され、「晴天の霹靂」でした。

言葉通り なぜ故に私がとの思いですが選出いただいたからには

任期中、障害のある利用者、それを支える若いスタッフに

貢献できるように頑張る所存です。

このたびの施設長会議では社会福祉法人改革の議論が

中心でしたが、話をお聞きして違和感がありました。

社会福祉法人の課税問題やガバナンスの強化そして

余裕財産等お金の話が出発の法人改革です。

障害福祉分野は親や支援者が立ち上げた小規模事業所が多く

なかなかこのたびの改革議論からは遠いという印象です。

私は現在の議論の前に障害のある利用者の権利擁護の視点

からの改革が求められていると思うのです。今の行政監査で

良いのか?相談のあり方は?地域移行はなぜ進まないのか?

虐待を防止するにはどんな方法があるのか等々利用者の

権利擁護という視点からの改革が求められていると思います。

二日目は第4分科会「障害者の権利擁護と意思決定支援」で

コーディネーターを務めました。昨年度の意思決定支援に関する

特別委員会の内容を確認できたこと、パネラーからは本人活動の

支援、障害の重い利用者の意思決定支援地域での多様な生き方を

保障する取り組みの発表をいただきました。

権利擁護の取組とともに意思決定が徹底され利用者本人の意思に

よって人生を歩めるようになるために私たちの実践が求められて

います。

新年度に思うこと

3月の理事会で理事長職を拝命いたしました。

責任の重さを痛感いたします。ご支援ご協力どうぞよろしくお願いいたし

ます。

先日福祉協会の機関誌「さぽーと」の巻頭言に書かせていただきましたが、

利用者の権利を経営の中核に据える時代となりました。

わが国も大変遅れましたが障害者権利条約の締結国となりました。今年4

月からは国の差別解消法が施行され、同時に山形県の条例も制定されまし

た。障害のある人が地域でともに生きる時代となりました。

個人的な話になりますが山形県立総合コロニー希望ヶ丘に入職してから

40年の歳月が流れようとしています。当時重度の知的障害を持つ皆さん

への福祉施策はなくお母さんが将来を悲観しての無理心中があったり、

座敷牢に閉じ込められていたり、精神病院の個室に閉じ込められていた

人がほとんどでした。

当時の状況から言えば大規模コロニーはご家族にとっては福音だったと思い

ます。しかし、入所された利用者の皆さんは大変な状況でした。若いスタッ

フが必死に支えていましたが不幸なことに命を落とした人もあり悲しい現実

がありました。

このような弱い立場にある人をこのような状況におく社会のあり方に

怒りを覚えながらお世話に当たっていたことを思い出します。家族から地域

から隔絶された障害当事者の怒りや悲しみは想像を絶するものがあったと思

います。長い時代を経てようやく障害のある人の人間としての復権がようや

くなされようとしています。

この山形においてもどんなに障害が重くても地域で生活することができる地

域社会となるように課題は山積みですがスタッフの皆さんと力を合わせて

挑戦して参りたいと思います。一層のご支援をどうぞよろしくお願いいたし

ます。

 

 

ある作品展

先日当法人のグループホームでKさんの作品展が開かれており

彼の作品群を見ることができた。以前さぽーとの巻頭言に「可

能性の信頼」というコラムに彼のことは書かせてもらった。

精神病院から向陽園に入所されたとき薬漬け、たばこづけで

昼夜逆転の彼の生活がゲーム機を通して見事に変わり、職場実習

に行きそしてグループホームに入居され、様々な経験をされた。

そんな彼も年齢を重ね今はグループホーム生活と日中は生活介護

を利用されている。

その生活介護事業所で「ぬりえ」に取り組まれおびただしい数

の作品が展示されていた。

彼の生命の躍動を感じる作品となっている。そして現在は

作品とともにYさんが大好きとのことで一緒に移った写真を

いじらしいほど大切にしていることが伺えた。

ハリのある充実した生活を日々送っている。

様々な経験をしながら一つのことに情熱をかける

彼の生き方を手本としたい。

次年度の取り組み

立春を過ぎ自宅ではいただいた啓翁ざくらが咲き始めました。 現在次年度の事業計画づくりの時期である。 計画は常に変化し、対応を工夫し新鮮な内容でありたい。 今年の新規事業は天童市において今年度開設した 「天花」の隣にグループホームを建設いただいている。 又山形市花楯に高齢になった障害のある利用者が入居 できるグループホームを建設いただいている。 大家さんに感謝申し上げたい。 今年は雪も少なく工事も順調に進み双方とも5月に 開設予定となっている。 そして中山町からの事業の委託の話をいただいて現在 検討中である。 昨年の大きな事故があり新規の事業はと思い悩むが 利用者家族の要望や行政から要請があったりすると引き受ける 結果となる。確かに福祉、特に知的障害者の皆さんは ゆったりとした時の流れが似合う。現場では利用者に 丁寧にゆったりと関わりたい。 しかしサービスが圧倒的に不足している県内においては運動体 でありたいと思っている。利用者や 地域のニーズに対応し、変化し成長する事業所でありたい。 そのためには人材の養成が必須である。 特に小規模事業所が地域に点在する愛泉会方式では各拠点での リーダーの皆さんの力にかかっている。 基本理念を確認しながら利用者の安全安心を最優先しこれからも 利用者、ご家族の人生を支援していきたい。